JCA設立25周年記念総会 in やすらガーデン

総会の開催と施設見学
2025年6月20日、山口県下関市にて「JCA設立25周年記念総会」が開催されました。会場となったのは、安成工務店グループがPFI事業として整備した複合施設「やすらガーデン」です。地域の集いと発信の拠点として設計され、環境共生をテーマに掲げた最新の公共施設となっています。
当日は、全国のデコスドライ工法施工代理店、JCA顧問、メディア関係者など計49名が参加しました。施設見学や意見交換を通じて、JCAのこれまでとこれからを共有する貴重な機会となりました。
第1部では、やすらガーデンおよび隣接する期間限定住宅展示場「五郷の杜」の見学を実施しました。「五郷の杜」は、山口県内の地場工務店5社による協働展示であり、地域材活用や断熱設計の工夫が随所に見られました。訪れた参加者の皆様は多くの気づきを得ることができました。


やすらガーデンと五郷の杜展示場を見学しました。
五郷の杜は山口県内の工務店5社による期間限定の住宅展示場です。
顧問報告と特別講演
見学の後には、JCA設立25周年を振り返る記念動画が上映されました。四半世紀にわたる活動の軌跡と関係者の想いが詰まった映像には、参加者の皆様から大きな共感と拍手が寄せられました。
JCA安成会長あいさつでは、JCA25年の振り返りと関係者への支援感謝、脱炭素時代への対応策などが報告されました。
JCA顧問による近況報告では、伊香賀俊治氏(一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター 理事長)、前真之氏(東京大学大学院 准教授)、辻充孝氏(岐阜県立森林文化アカデミー 教授)が登壇されました。各氏は、それぞれの研究領域や実務を通じて、GX(グリーントランスフォーメーション)や脱炭素時代における断熱の役割と可能性について、多角的な報告を行いました。
特に伊香賀氏は、建築物のライフサイクル全体におけるCO₂排出量削減に向けた最新の政策動向と、断熱材の果たす役割について講演されました。同氏は、「ゼロカーボンビル推進会議」「建築物のライフサイクルカーボン制度検討会」「建設時GHG排出量算定マニュアル検討会」など、多数の政府系委員会・WGにおいて主査・座長・委員長代理を務めておられ、制度設計をリードされています。
報告では、建築分野における「エンボディド・カーボン(建設時炭素)」の可視化・削減が喫緊の課題であると指摘され、今後は建材EPD整備やJ-CAT(建築物ホールライフカーボン算定ツール)の活用が標準化されていくと述べられました。そのうえで、断熱材はアップフロントカーボン削減とライフサイクル貢献の両面で中心的な存在であり、とりわけ木質系やリサイクル素材の有効性が高まっていると強調されました。また、JCAや地域工務店の取り組みが、2025年9月開催予定の「SBE2025東京大会(サステナブル建築都市世界会議)」でも紹介される予定であることにも触れられました。
特別講演では、建築家の伊礼智氏(伊礼智設計室 代表)が「デザインと温熱環境が生む上質で心地よい家づくり」と題してご講演されました。断熱性能だけでなく、空間としての美しさや住まい手の感性に響く住宅設計のあり方について語られ、i-works projectの実例をもとに、環境性能と意匠性の融合、長寿命化と快適性の両立をいかに実現するかについて、深い洞察をご披露くださいました。

JCA安成会長あいさつ



以下のJCAの顧問の先生よりご挨拶と近況報告をいただきました。
・一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター 理事長 伊香賀俊治氏
・東京大学大学院 准教授 前真之氏
・岐阜県立森林文化アカデミー 教授 辻充孝氏
今後のGX・脱炭素社会を見据えた建築業界の展望について、お話いただきました。



建築家 伊礼智氏
「デザインと温熱環境が生む上質で心地よい家づくり」
i-works projectでみられる、「ちいさくても、ゆたかな暮らし」をテーマに、自然素材と断熱性能を融合したデザインの実例を通じて、「美しさと快適性を両立する暮らし」について語っていただきました。


ミニブローイングピック

炭素を「多く」「長く」固定する断熱材
表彰・技術報告・懇親
「デコスコンテスト表彰式」では、2024年度の出荷量ランキングに基づき、株式会社マイライフ・オオニワが14年連続・通算15回目の日本一として表彰されました。同社は施工品質の維持に加え、社内教育や勉強会の継続、地域貢献にも積極的に取り組まれており、まさに模範となる存在です。
総会の後半では、JCA事務局である株式会社デコスより、最新の普及状況とデータ報告が行われました。2025年春に開催された中四国エリア勉強会では、施工密度の実習研修を通じて「断熱施工の見える化」が図られ、標準施工密度(55±5kg/m³)や吹込み量管理の重要性が再確認されました。経験の浅い作業員も含め、すべての参加者が規定範囲内での施工を実現しており、JCAの技術水準の高さが裏付けられました。
また、断熱材による炭素固定効果についても再確認がありました。デコスファイバー1袋(15kg)は杉の木2本分、住宅1軒分(1.2t)では154本分に相当する年間CO₂吸収量を固定しているとされ、こうした定量的データに基づく訴求が、今後の市場展開や政策提言に資するものであることが強調されました。
第2部では、下関駅前のシーモールパレスにて懇親会が開催されました。施工代理店間の交流や情報交換が活発に行われ、日常業務では得られないリアルな声が飛び交う貴重な機会となりました。
断熱施工の未来を見据えた今回の総会は、JCAの次なるステージへの第一歩として、関係者にとって大きな節目となりました。

全国の施工代理店の出荷量をもとに作成している、デコスコンテストの表彰式をおこないました。
期間:2024年1月1日~12月31日
1位:株式会社マイライフ・オオニワ(275.82t)
2位:オンドクラフト株式会社(134.40t)
3位:株式会社クロダ(112.23t)
4位:香川デコス株式会社(106.85t)
5位:山陽木材株式会社(101.52t)

施工代理店表彰式
今年受賞されたのは、株式会社マイライフ・オオニワ
【受賞理由】
デコス断熱の理念に基づき、責任施工と勉強会を継続
さらに、「デコスコンテスト」において14年連続15回目の日本一に輝いた

今後とも、セルロースファイバー断熱のさらなる普及と品質向上を目指して活動を続けてまいります。